セルビア政府、華為技の位置づけで米国と対立も

華為技術は14日、セルビアの首都ベオグラードでイノベーション・開発センターを開設した。ヴルナビッチ首相は開設式に出席し、政府と華為技の提携が、4日に結んだ米国との協定に違反しないと強調したが、今後のプロジェクト実施に協定がどれほどの制約を意味するのかは、米国政府の出方にかかってきそうだ。

セルビアのブチッチ大統領は4日、トランプ米大統領の仲介でコソボとの経済関係正常化に同意し、協定に調印した。この中で電気通信網の設備に「信用できない販売元」の製品を使用しないことを約束した。米政府にとって「信用できない販売元」に華為技が含まれるのは明らかだが、ヴルナビッチ首相は文面に依拠し「信頼性のない技術を導入するつもりはない。入札を通じて、次世代移動通信網(5G網)の導入をオープンかつ透明に、しかも米政府との取り決めを含め、国際的な基準を満たした形で実施する」と話した。

ブチッチ大統領はこれまで、米国、ロシア、中国、欧州連合(EU)と付かず離れずの綱渡り的な外交政策をとってきた。今回のケースもその一例だが、華為技とは複数のプロジェクトで提携しており、米国の思惑に沿って華為技を5G網整備から締め出す意思があるのかは不透明だ。セルビア政府は来年第1四半期に5G周波数の入札を実施することにしている。

華為技はすでにセルビアに進出して長く、国営のセルビア・テレコムからは固定通信網の近代化(1億5,000万ユーロ)を受注した。また、民間通信会社のテレノールからも5G網構築の提携先として指名されている。

内務省とは、無線ブロードバンド技術「eLTE」と、大規模な監視ネットワークを含む保安システムの導入で提携を結んでいる。観光・通商・電気通信省とは昨年、「スマートシティ」プロジェクトにおける提携で基本合意書を交わし、2017年にブロードバンド網の整備で戦略提携協定を結んだ。

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