ユーロ圏インフレ率、2カ月連続マイナスに

ユーロ圏でコロナ禍に伴うデフレ懸念が強まっている。欧州連合(EU)統計局ユーロスタットが2日に発表した9月のインフレ率(速報値)は前年同月比で0.3%下落し、2カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅は前月の0.2%を上回り、インフレ率は約4年ぶりの低水準に落ち込んだ。

分野別ではエネルギーが8.2%、工業製品が0.3%のマイナス。下げ幅はそれぞれ前月の7.8%、0.1%から拡大した。サービスはプラス0.5%だったが、上昇率は前月の0.7%から縮小。欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)はプラスを維持しているものの、上昇率は0.4%から0.2%に半減した。

主要国はドイツが0.4%、イタリアが0.9%、スペインが0.6%のマイナス。フランスは横ばいだった。

欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の物価、景気を下支えするため大規模な金融緩和を実施しているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で雇用が悪化していることなどで、消費の停滞に歯止めがかからない。インフレ率が2カ月連続でマイナスとなったことで、追加金融緩和を求める圧力が強まるのは確実だ。市場ではECBが次回の内部経済予測を発表する12月の定例政策理事会で、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と呼ばれる資産購入プログラムを拡大し、購入枠を1兆3,500億ユーロから引き上げるとの見方が出ている。

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