ロシアの監視技術スタートアップ企業、10億ルーブルの資金獲得

監視カメラ向けのソフトウエアを開発するロシアの新興企業エヌテックラボ(NtechLab)は先ごろ、ロシア直接投資基金(RDIF)や中東諸国の国家ファンドなどから10億ルーブル(1,100万ユーロ)の投資資金を獲得した。ITニュースサイト『テッククランチ』が9月29日に報じたもので、得られた資金は監視カメラに映った人物が見せる攻撃的な動きの自動探知や車両の識別などの新技術開発に振り向ける。

2015年設立同社はビデオカメラに映る顔や人影、行動を識別できるソフトウエアを販売している。昨年の売上は前年の3倍に当たる800万ドルで、今年の実績も昨年同様の伸びが期待されている。これまでに旧ソ連諸国や中東、中南米、東南アジア及び欧州地域の15カ国・30都市で導入された実績を持つ。今後は中東、東南アジア、中南米市場でシェア拡大を目指すほか、これまで主要顧客だった地方自治体だけでなくエンターテイメント業界や金融、小売り、ホスピタリティ・観光産業にも販売先を広げていく計画だ。

監視カメラ装置は供給元により画像処理ユニット(GPU)の仕組みが異なることから、エヌテックラボは新規投資を通じてそれぞれの供給元と連携しながらシステムの開発を行っていく。同分野では以前、米半導体大手エヌビディアが大きなシェアを占めていたが、最近では米同業インテルや中国の華為技術(ファーウェイ)が台頭している。

エヌテックラボは設立当初、人物の写真をアップロードすることでそのプロフィールをオンライン上で見つけることができるソフトウエアを販売していた。その後ビデオ映像に軸足を移し、犯罪捜査などで人の識別を行う必要がある政府機関を主な顧客としてきた。最近ではロシア政府が同社のシステムを用いて大規模集会の監視や人の出入りの制限を行っている。

同様の監視システムについては一部でプライバシーや差別、大量のデータの取得に対する懸念などが提起されている。これに対応するため同社は、システムを各地域の法律に合わせて調整する仕組みを導入していく方針だ。(1RUB=1.35JPY)

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