仏で人口の7割に夜間外出禁止、チェコとアイルランドは全土で都市封鎖

欧州で新型コロナウイルス感染拡大の勢いが止まらず、各国が相次いで規制強化に動いている。フランス政府は22日、新たに38の県を最大警戒区域に指定し、夜間の外出を禁止すると発表した。対象地区は従来の16県から54県に増え、人口のほぼ7割にあたる約4,600万人が影響を受ける。

フランスでは同日、1日の感染者数が初めて4万人を超えなど感染が急拡大している。パリなどでは今月17日以降、午後9時から午前6時までの外出が禁止されているが、24日から101ある県のうち半数以上に対象が拡大された。違反者には135ユーロ(約1万7,000円)の罰金が科される。

カステック首相は記者会見で「11月はさらに状況が悪化する恐れがある」と述べ、夜間外出禁止措置の効果がみられなければ、さらに対策を強める方針を示し、国民に警戒を呼びかけた。

一方、チェコとアイルランドは22日から全土でロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。チェコでは生活必需品を扱う店を除いてほとんどの店舗を閉鎖し、外出も食料品の買い出しや通院などに制限される。期間は当面11月3日まで。

チェコは3~4月の第1波では感染を抑え込んでいたが、9月に入って感染者が急増し、20日には1日の感染者数が1万2,000人を超えた。現在は人口当たりの新規感染者数が欧州で最悪の水準となっている。バビシュ首相は全土の封鎖に踏み切らなければ11月上旬にも医療体制が崩壊すると述べ、危機感をあらわにした。

アイルランドでは5段階ある感染対策のうち、最高レベルの対策が6週間にわたり実施される。生活必需品を扱う店以外は閉鎖され、飲食店もテイクアウト品の提供のみ認められる。外出は食料品の買い物や通院、不可欠な仕事などを除き、自宅から5キロ圏内での運動などに制限される。違反者には罰金を科す。春の封鎖時には学校や託児施設も閉鎖されたが、今回は閉鎖しない。

さらにイタリア政府は25日、飲食店の営業を午後6時までに制限するほか、スポーツジムや映画館などを閉鎖すると発表した。期間は26日から11月24日まで。同国では25日に1日の感染者数が2万1,273人と過去最多を記録した。コンテ首相は記者会見で、医療現場への負担が懸念すべき状況にあると警告。営業時間の短縮や施設閉鎖は公衆衛生と経済活動を両立させるために必要な措置だと強調し、「今後数週間に感染をコントロールできれば穏やかなクリスマス休暇を迎えることができる」と述べて国民に理解と協力を訴えた。

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