ロシア科学者チーム、バイオマス燃料の改良に成功

ロシア・トムスク工科大学(TPU)の科学者らが、泥炭とふすまを加工・混合することで、褐炭に匹敵する燃料を作り出すことに成功した。既存のバイオマス燃料を改良することで無駄を小さくする狙いだ。将来的には産業有機廃棄物にもこの手法を応用していく。結果は7月1日発行の『フューエル』誌271号で発表された。

泥炭は乾燥重量ベースで灰分が20%強と多く、燃焼効率が悪い弱点がある。一方、ふすまはそのまま燃やすと燃えかすが炉の中で固まり、熱伝導率が低下するほか、ボイラー設備の寿命を縮めるという問題がある。

このため、研究チームはまず、泥炭とふすまをそれぞれ遠心分離器にかけ、灰分を多く含む重い部分と、ほぼ有機物のみの軽い部分に分けた。また、灰分に含まれるミネラルの種類をX線分析で解明した。

その結果、有機物の多い軽い部分は褐炭と同じように燃料として使えることがわかった。また、ふすまの燃焼時に燃えかすが固まるのは、含まれるカリウムの量に対してカルシウムが少なすぎるためとわかった。炭酸カルシウム(CaCO3)を炉に投入して燃やせば固まらないことを確認したうえで、CaCO3の結晶である方解石を多く含む、泥炭の重い部分をふすま重量の5%分混ぜてみると、やはり燃えかすが固まるのを防げることがわかった。泥炭に含まれる有機物を取り除いた残りの部分が有用に使えるため、無駄が省ける。

ほかにも、泥炭の重い部分は浄水用炭素吸着剤の原料としても使えるという。

今回の研究は、ノボシビルスクのボレスコフ触媒研究所と共同で進められた。今後もバイオマスに含まれる鉱物の分析を進め、新しい燃料の開発と炭素吸着剤の製造法改善につなげていきたい意向だ。

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