スイスの特殊化学大手クラリアントはこのほど、ルーマニアで建設が進むセルロース系エタノール工場が来年末までに完成する見通しを明らかにした。同工場は2018年9月に着工し、今年中に稼働を開始する予定だったものの、新型コロナの流行を受けて工事に遅れが生じていた。投資額は明らかにされていないが、欧州連合(EU)から4,000万ユーロの支援を受けている。
新工場の立地は同国南部クラヨバ近郊のポダリ区。完成後は現地で収穫される麦わらなどを最大25万トン処理し、年間5万トンのセルロース系エタノールを生産する。抽出されたエタノールは再生可能エネルギーに利用し、化石燃料を使用することなく工場を稼働させる。100人から120人を新たに雇用する予定。 立地選定の理由としてクラリアントは、原料の調達が容易で、物流・産業インフラが整備されていることを挙げた。
クラリアントは1995年、スイスの製薬会社サンドのスピンオフとして設立された。53カ国に110の拠点を置き、欧州、北米、南米、中国及びインドに工場を持つ。