ヨーグルトを「公式」特産品に~ブルガリア

ブルガリアと言えばヨーグルト。このイメージを経済にも生かそうと、政府は欧州連合(EU)に対し、原産地指定(POD)制度に基づく特産品に認定するよう申請した。認定されれば、イタリアの「パルマハム」やフランスの「シャンパン」と同様、他国が製造したヨーグルトを「ブルガリア・ヨーグルト」として販売することが禁じられる。

言い伝えによると、ブルガリア人は「遊牧をしていた古からヨーグルトを食べてきた」。20世紀の初め、スタメン・グリゴロフ氏が乳をヨーグルトに発酵させる乳酸菌「ラクトバチルス・ブルガリクス」を特定した。同時期にノーベル賞医学者のイリヤ・メチュニコフ氏が欧州の長寿者数を調べたところ、100歳以上の人口でブルガリアが1位であることが分かった。ヨーグルトと健康との関連が「疑われる」ようになったのはこのためだ。今でもブルガリアでは1年間に1人当たり22キロ消費されている。

1959年には「伝統的」乳酸菌の株を保存し輸出する目的で研究所が設立された。明治乳業の「ブルガリアヨーグルト」もこれを使っている。ブルガリアでは1960年代まで、どの家庭でもヨーグルトを作っていた。生乳を一旦90度まで加熱して43度まで冷まし、ラクトバチルス・ブルガリクスを混ぜれば、5~6時間後には食べられる。ただし、保存できるのは長くても48時間だったという。

ブルガリアはワイン54種を含む61品目について、特産品認定を受けている。しかし、よりにもよって毎日の食卓に欠かせないヨーグルトと塩漬けチーズ「シレネ」(ギリシャの「フェタ」と同系統のチーズ)はその中にない。

酪農家の強い要請で今回、ヨーグルト、チーズ共に認定を申請することになったが、2008年にEU特許が失効しているため、認定にはいくつかのハードルを越える必要がある。手続き中にEU内外の国が異議を申し立てることもできるため、晴れて認定が受けられるかどうかはまだわからない。

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