ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスは20日、政府が2025年に国際宇宙ステーション(ISS)からの脱退を検討していることに関連し、独自ステーションの整備に意欲を示した。「新ステーションの核となるモジュール製造に向けた準備を進めている」(ディミトリ・ロゴジン総裁)という。ただ、ロスコスモスが計画を予告しながら予算を確保できなかった例が過去にたびたび見られたため、今回のプロジェクトが実現するかどうかは不透明だ。
ISSはロシアと旧西側諸国の提携が成功している数少ない例の一つ。1998年の打ち上げ以来、ロシア及び米国、カナダ、日本、欧州宇宙機関(ESA)が協力を続けている。しかし、ユーリ―・ボリソフ副首相(防衛・宇宙産業担当)は18日、国営テレビを通じて25年以降、ISSに参加しない意向を明らかにした。代わりに独自の宇宙ステーションを開発する方針と話した。ただ、ロスコスモスは19日の段階で「まだ最終決定ではない」とコメントしており、計画がどの程度、具体化しているのかはわからない。
政府はISSの「老朽化」を公式な理由として挙げているが、スパイ疑惑やウクライナ国境付近へのロシア軍動員、投獄中の反政府活動家アレクセイ・ナヴァルニ氏の健康状態などをめぐって外交的緊張が高まる中の発表で、ロシアと欧米の距離感を改めて印象付けた。