ロシアの国営金融・テクノロジー大手ズベル(旧ズベルバンク)は12日、同国のソフトウエア開発企業インセールス(InSales)の買収で合意したと発表した。取引額は明らかにされていない。ズベルは同社の株式80%を取得する予定で、残りは創業者や経営陣が引き続き所有する。今年半ばに手続き完了の見込み。インセールスは電子商取引(EC)サイト構築を目的とした「サービスとしてのソフトウエア(SaaS)」を開発している。
2018年設立のインセールスは中小企業向けにネット通販を始めやすくするツールを提供している。同社のツールを利用することで、サイトのデザインやコンテンツの作成をはじめ、管理業務、在庫管理、顧客とのコミュニケーション、販売促進、配達や決済業務などのトータルなシステムを専門知識なしに構築することができる。
ズベルとインセールスは今後、共同で同ツールのプラットフォームを開発する。これによってサービスの種類を増やして新しいセグメントを開拓するとともに、あらゆるネット販売を管理できるツールを開発提供していく方針だ。
インセールスのシステムは現在、ロシア、ウクライナ、カザフスタンの約8,000のオンラインショップで導入されている。これらのショップは月間100万件以上を受注しており、全体の売上高は40億ルーブル(4,400万ユーロ)に上る。
インセールスの共同創業者のティモフェイ・ガルシコフ氏は、「ズベルの持つエコシステムは各産業の主要企業を網羅しており、シナジー効果によりさらに優れたツールやサービスを提供することができるようになる」と話した。またズベルのポポフ副社長は、同社の取引先250万社の大半を占める中小企業に対し新しいサービスを提供できると述べた。
ズベルは従来の金融事業からITを利用したテクノロジー系のサービスに事業を拡大しようとしており、2019年の夏には物流及び配送サービスを手掛ける地場企業シプター(Shiptor)を買収している。(1RUB=1.41JPY)