「ノルドストリーム2」を米が容認、独はウクライナ支援で合意

●独はウクライナのエネルギー安全保障支援に1.75億ドルを拠出

●露のエネ資源の「武器」利用には独自に制裁措置を講じる

米国とドイツは21日、ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」に関する合意を発表した。米国はエネルギー分野で欧州のロシア依存が高まることを警戒し、建設に反対してきたが、エネルギー安全保障の観点からドイツがウクライナを支援することなどで合意し、米国が計画を容認した。

ノルドストリーム2はウクライナを迂回してロシア産天然ガスを直接ドイツに運ぶ全長1,200キロメートルのパイプライン。すでに98%が完成しているが、ウクライナや東欧諸国はエネルギー安全保障が脅かされると懸念してきた。米政府は一貫して計画に反対しており、トランプ前政権下では米独関係が急速に悪化したが、バイデン政権はノルドストリーム2の運営会社と経営者に制裁を科さない方針を打ち出すなど、関係修復に向けて譲歩の姿勢を示しつつ、ドイツに対しウクライナなどの懸念を和らげる措置を求めていた。

米独政府の共同声明によると、両国は2024年に期限が切れるウクライナとロシアのガス輸送協定について、10年間延長することを支持するほか、ドイツはウクライナのエネルギー安全保障を支援するため、少なくとも1億7,500万ドルを拠出する。さらに、ロシアがウクライナ向けのガス供給を停止するといった事態に備え、ロシアがエネルギー資源を「武器」に敵対関係にある国に圧力をかけた場合、ドイツが独自に制裁措置を講じるほか、欧州連合(EU)に対して制裁を含む対応を呼びかけることでも合意した。

両国政府は共同声明で「米独はロシアによる悪意ある行動の責任を追及する決意を共有しており、ウクライナの主権に対する支持は揺るがない」と表明。一方、米国務省高官は記者団に対し、「パイプライン計画には依然として反対だが、制裁によって建設を阻止することはできず、ドイツとの同盟関係を損なう危険があると判断した」と説明した。