ロシア首相が択捉島訪問、「北方四島を非関税特区に」

●進出企業や被用者に税金の減免を認め、開発を進める狙い

●北方領土問題は解決済みとする露政府、日本に逆抗議

ロシアのミハイル・ミシュスチン首相は26日、日本が領土権を主張する北方四島の一つ、択捉島を訪れ、四島を非関税の経済特区とする考えを示した。進出企業や被用者に税金の減免を認め、開発を進める狙い。四島の返還を求めている日本政府は外交ルートを通じてロシア政府に抗議したが、ロシア側は四島が「自国領」という立場から、逆に抗議した。

ロシア政府広報によると、ミシュスチン首相は択捉島のヤスニ水産加工場を訪れ、「クリル列島(千島列島のロシア呼称)における投資・経済活動をより効果的なものとするための一連の措置について、プーチン大統領と話し合った」と述べた。RIA通信はこれに加え、首相が「当地への投資に関心があるならば、日本にとっても興味深いだろう」とコメントしたと報じた。液化天然ガス(LNG)貯蔵施設や風力・太陽光発電への投資で、四島のエネルギー供給を改善する案についても検討中という。

日本外務省はミシュスチン首相の択捉訪問を受けてミハイル・ガルージン駐日ロシア大使を呼び、強く抗議した。これに対してロシア外務省も上月豊久・駐ロシア日本大使を呼び、「我が国に対する日本の領土返還要求の文脈で日本政府が示した、ここ数日の非友好的行為に断固抗議する」と伝えた。

ロシア連邦院(上院)国際問題委員会のウラジミル・ジャバロフ副委員長はタス通信に対し、「クリル列島問題は既に終結している」との立場を示した。そのうえで、両国が同列島で経済提携すれば「両国ともに利益を得る。米国基地を配置するために列島を日本領にしようと試みるよりもよっぽどいい」と話した。

ロシアが南クリル列島と呼ぶ北方四島は第二次世界大戦末期にソ連軍(当時)が占領し、ソ連崩壊後もロシアの実行支配下にある。主要産業は漁業だが、領海内に海底資源が眠るという推測がある。ロシアにとっては戦略的にも重要な土地で、軍事訓練も行われている。

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