●ベオグラードの監視カメラ映像分析に生体認識ソフトを導入
●同市のカメラはファーウェイ製、今夏の時点で1,200台以上
セルビア政府が作成した「内務法案」に対し、国内で懸念の声があがっている。首都ベオグラードに設置された監視カメラの映像分析に生体認識ソフトを導入する内容で、人権が大きく損なわれる可能性があるためだ。
地元の人権擁護団体シェア・ファンデーションは、このまま法案が通れば、セルビアが欧州で他に例をみない「全市民を根拠もなく無差別に監視する国となる」とし、立法手続きを凍結するよう政府に求めた。監視に使われるスマートカメラは顔貌だけでなく、物体、ナンバープレート、そして人間の行動をすべて認識でき、そこから得られる情報量は当局が理由なく収集できる範囲を超えているという主張だ。
ベオグラードでは2019年以来、政府が「治安」を理由に公共の場に華為技術(ファーウェイ)製のスマートカメラを設置し始めた。その数は今年の夏の時点で1,200台を超え、その目的や運用のありかたが明らかでなかったこともあり、「監視社会への移行」への警戒感が広まっていた。無差別監視はセルビアが加盟を目指す欧州連合(EU)の法律にも抵触するため、EUも同国政府の動向を注視している。