ガスプロムネフチとロスアトム、炭素中立達成に向け協力

●RAOSがサハリン島に建設する水素工場のCCS用設備導入で協力

●両社は炭素中立関連分野の需要取り込みを狙う

ロシア国営ガスプロム傘下の石油会社ガスプロムネフチはこのほど、ロシア原子力公社(ロスアトム)と水素エネルギーなど二酸化炭素(CO2)排出量削減に関連する共同プロジェクトの実施で合意したと発表した。まずはロスアトム子会社のロスアトム・オーバーシーズ(RAOS)が極東のサハリン島に建設する水素工場のCO2回収・貯留(CCS)用設備導入に協力する。ガスプロムネフチとロスアトムは昨年10月、水素の生産過程で排出されるCO2の再利用について検討すると発表していた。

RAOSの新工場では天然ガスから年間3万トン~10万トンの水素を生産する予定。ロスアトムの海外事業部門である同社は、国外での原子力発電所の建設プロジェクトや原子力技術センターの設置に加え、水素エネルギー、エネルギー貯蔵など新分野の開拓を行っている。

ガスプロムネフチはすでに年間10万トンの水素を生産しており、生産量は2024年には25万トンに達する見通しだ。生産した水素は最終製品ではなく石油精製の際の反応剤として利用されている。

ガスプロムネフチとロスアトムは水素の生産・輸送・貯蔵・利用を一貫して行う「水素テクノロジーバレー」に参加しているほか、サハリン州、サマーラ州、トムスク州及びモスクワ郊外のチョルノゴロフカでCO2関連技術の共同開発を行っている。「水素テクノロジーバレー」の参加企業には同国の石油化学大手シブール、国営ロシア鉄道、鉄鋼大手セベルスタル、鉄道車両メーカーのトランスマシュ、鋼管メーカーのTMKなどがある。

RAOSのパケルマノフ社長は、カーボンニュートラル(炭素中立)の達成は国内の多くの地域で喫緊の課題となっており、同分野の技術に対する需要は増えていると述べた。

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