欧州委が半導体事業への支援容認示唆、国家補助規定の緩和検討

●アジア依存の状況を改善し、域内での生産を推進する狙い

●コロナで打撃を受けた企業支援の枠組み措置は6カ月延長へ

欧州委員会は18日、欧州連合(EU)の国家補助規則を緩和し、加盟国による半導体事業への資金支援を認める可能性を示唆した。世界的な半導体不足で製造業への影響が深刻化する中、台湾や中国などアジアからの調達に依存する現状を改善し、域内での生産を推進する狙いがある。

国家補助ルールの見直しは、EUがデジタル化やグリーン化に対応するための競争政策の今後の方向性を示した政策文書で明らかにした。EUは特定の企業に対する国家補助を原則として禁止しているが、半導体の供給不足で自動車をはじめとする域内産業に深刻な影響が出ている。

欧州委はこうした現状を踏まえ、EUはアジア依存から脱却してテクノロジー分野で自立する必要があるとして、域内で生産する次世代半導体の世界シェアを現在の10%から2030年に20%以上に引き上げる目標を掲げるほか、域内での研究開発から生産までを一貫して強化するための法的枠組みを整備する方針を打ち出している。ただ、実際に生産を軌道に乗せて投資を回収するには何年もかかることから、フランスなどが国家補助規則を緩和して各国政府による資金支援を認めるよう求めていた。

ベステアー上級副委員長(競争政策担当)は記者会見で「半導体の供給体制を確立するうえで資金不足を補うための公的支援を認めるかどうか検討する」と発言。そのうえで、各国政府の補助金によって域内における公正な競争が阻害されることがないよう、欧州委が事業ごとに審査を行い、支援が「必要かつ適切な規模で、不当に競争が歪められていない」ことを確認するとつけ加えた。

欧州委は一方、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行で打撃を受けた企業を支援するための「国家補助に関する暫定的枠組み」の適用期間を6カ月延長すると発表した。資金難に陥った企業が事業を継続できるよう、一時的に国家補助規則を緩和し、加盟国が事業ごとに最大80万ユーロを支援できるようにしたもので、21年12月31日が期限となっていた。

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