温暖化とはちみつ~キルギス

キルギス共和国の養蜂業が危機に直面している。気候変動の影響で氷河の雪解け水が減り、蜂が花蜜を集められなくなっているためだ。キルギスのサディル・ジャパロフ大統領が先月2日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で報告したところによると、現状では同国の氷河が2100年までに消失し、農業へ致命的な打撃を与えると予想されている。

ターライベク・サートフさん(60)は4年前からチュイ州のサリ・ウゼニで蜂を飼っている。氷河の雪解け水が流れる川がいくつかある景勝地だ。しかし、ここ2年ほど、蜂群20群(巣箱20箱)を維持するのが難しくなってきた。

「今年はなかなか春が来ず、来たと思ったら気温が30度に上がって花が枯れてしまった。5月以来、雨が降ったのは4回だけ」だったという。これに加え、地域の農家が5~6月に無許可の農薬を畑にまいたため、蜂が大量に死んでしまった。野生の花を求めて山に登ってみたが、中央アジアを襲った干ばつで、やはり早々と枯れてしまったという。

サートフさんによれば、いつもならふもとの草地は7月まで花が咲く。7月に蜂を山に連れて行き、8月まで山の花蜜を吸わせるという。

キルギスのはちみつは「世界一」と評判があるほど美味しいそうだ。しかし、気候変動で養蜂ができなくなれば、はちみつがなくなるだけでは済まない。キルギスでは農作物が収穫できなくなり、山々に自生する草花も受粉を助けるものがなく絶えてしまうリスクがある。

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