●製造業、物流などに影響、生産・運航停止や生産移管など
●JTや住友電気も生産停止
ウクライナにロシアが軍事侵攻したことを受けて、同国に拠点を置く欧州企業などの事業活動に影響が出ている。
ロイター通信などによると、ウクライナのビール市場で2位のシェアを持つカールスバーグは侵攻開始当日の2月24日、首都キエフ、南東部ザポリージにある工場の生産を停止。ネスレとコカ・コーラHBC(スイス)も同日に工場を閉鎖した。
鉄鋼大手アルセロールミタル(ルクセンブルク)は中部クリヴィー・リフの製鉄所が減産体制に入った。
日本企業にも影響が及んでいる。日本たばこ産業(JT)は25日、中部クレメンチュクの工場の操業を停止。住友電気工業も同日、西部にある自動車用ワイヤハーネス(組み電線)の工場を停止すると発表した。
空運・物流企業も対応を迫られている。欧州の航空会社の大半はウクライナ侵攻の危機が浮上してから同国便の運航を停止していたが、ハンガリーのウィズエアー、アイルランドのライアンエアーも24日に運休を決めた。海運大手マースク(デンマーク)は24日、ウクライナの黒海沿岸の各港への寄港を2月末まで停止すると発表した。
一方、自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は25日、国内東部の2工場が28日から4日間にわたって操業を停止すると発表した。ウクライナから入るワイヤハーネスなど部品の供給が止まったためで、ツウィッカウ、ドレスデン近郊の工場が対象となる。
仏ルノーは同日、ロシアのモスクワにある組み立て工場が28日から3月5日にかけて生産を休止すると発表した。国境管理が強化された影響で、部品が不足していることが理由と説明している。
また、フィンランドのタイヤメーカー、ノキアンは、欧米などによる対ロシア制裁の発動に備え、ロシアの拠点で一部の生産を停止し、フィンランド、米国での生産に切り替えることを検討している。