七面鳥と呼ばないで~トルコ

トルコ政府が自国の英名を「Turkey」から「Tuerkiye(テュルキエ)」に変更しようとしている。昨年12月の大統領令では「テュルキエ」が「トルコ国民の文化・文明・価値を最も良く表している」と説明している。しかし、英語圏でトルコを悪く言うために同じつづりの「七面鳥」が使われることに怒っている国民もおり、そのような保守層をターゲットにした人気取りとみる向きもある。

英語の「Turkey」はもともと、「テュルク族の土地」という意味で、オスマン帝国の終焉した1923年以来、トルコの国際名称として使われている。一方、七面鳥の「Turkey」は、スペインがアメリカから七面鳥を持ち込んだ際に、アフリカ原産のホロホロチョウと間違われたのが名前の由来。ホロホロチョウ自体が、輸入経由地である「Turkey」の名で呼ばれていたため、七面鳥も同じ名となったという(経由地が名前のもとになるといえば、薩摩芋・唐芋が思い浮かぶところだ)。

しかし、ほぼ100年にわたって世界に親しまれた名前だろうが何だろうが、エルドアン大統領は未練がないようだ。今後数週間のうちに、名称変更について国連に通達する構えをとっている。

アンカラのガジ大学病院に務めるセルチュク・チャンダンサヤル教授によると、1984年にトルコがイングランドと対戦したサッカー試合で0対8と完敗した際に、ある英タブロイド紙が「Stuff the Turkey」という見出しで報じたことが「国民的なトラウマ」になっているという。エルドアン大統領が、この「侮辱」を忘れないナショナリストの支持を集めるために「テュルキエ」問題を取り上げた可能性は大いにある。ただ、インフレ率が50%にもなる現状を考えると、効果があるのか疑問だ。

上部へスクロール