米ビザとマスターカード、ロシアでの決済事業停止

●両社のカード決済はロシア全体のほぼ4分の3を占める

●ウクライナのゼレンスキー大統領による要請があったもよう

米クレジットカード大手のビザとマスターカードは5日、ロシアにおける決済事業を停止すると発表した。国外で発行された両ブランドのカードの決済機能を止めるほか、国内で発行されたカードは国外で使えなくなる。同国のウクライナ軍事侵攻が続く中、金融システムにおける国際的な締め付けが一段と強まっている。

両社は米国や欧州連合(EU)などが国際的な決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの大手銀行などを排除する決定をしたことを受け、すでに決済ネットワークから対象銀行を排除する措置をとっていた。新たに対象を国内全体の金融機関と加盟店に広げた形になる。決済業界誌『ニルソンレポート』によると、両社のクレジットカートおよびデビットカードによる決済はロシアでのカード決済全体のほぼ4分の3を占める。

今回、両社が踏み込んだ対応をとった背景には、ウクライナのゼレンスキー大統領による要請があったとされる。両社の決定は、同大統領が米国の上院議員とのビデオ会議で両社のロシアからの撤退を求めた数時間後に行われた。その後のバイデン大統領との電話会談では事業停止の対応が歓迎されたという。

両社の発表を受け、ロシア金融最大手のズベルバンクは、カードの停止はロシア国内での送金や店舗での支払い、オンライン取引に影響を与えないと指摘。各種取引は同国中銀の決済システム「ミール(Mir)」を通じ、国際システムとは独立して行えると強調した。「ミール」ブランドのカードはトルコ、キプロスなど複数の国で使用できるという。

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