ニッケル価格高騰でEV市場に影響、需要が冷え込む可能性

●ニッケルは主産国であるロシアの供給不安から高騰

●触媒用パラジウムや、ウクライナからのネオンガスも調達困難

ウクライナ戦争が電気自動車(EV)の生産に大きな影響を及ぼしそうだ。EV用バッテリーの重要な材料であるニッケルの市場価格が、主産国であるロシアの供給不安から高騰しているためだ。IT市場調査会社ガートナーのアナリスト、パチェコ氏によると、ガソリン価格上昇でEV購入への関心が高まる一方で、生産コスト増が車両価格に影響し、需要が冷え込む可能性がある。この影響は来年にも及ぶと見ている。

内燃エンジン車についても、ウクライナからのハーネスとロシアからの触媒用パラジウムの調達が困難となり、生産に大きく影響しそうだ。また、半導体製造に使われるネオンガスもウクライナからの供給が途絶えているため、半導体サプライチェーンの停滞が続く観測だ。一方で、ウクライナ戦争が長引けば中国メーカーがロシアから原料を調達しやすくなる可能性もある。

部品価格上昇によりEVモデルや人気モデルを消費者に魅力的な価格で販売することが難しくなりつつあり、自動車販売にブレーキがかかりそうだ。パチェコ氏は市場環境の悪化を乗り切るため、新たな企業合併の可能性も示唆している。

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