トルコ南東部、シリアとの国境に近いマルディン県のミドゥヤトは、ユネスコの世界文化遺産にも指定されている古い町並みが魅力だ。観光客が多く訪れるだけに、この「資産」を保存するため、2年前に「クリーンプロジェクト」が実施されが、それがきっかけで、さらに大きな「観光資源」が見つかった。作業中に出てきた「穴」を調べたところ、なんと回廊を張り巡らせた地下都市が姿を現したのだ。
早速始まった発掘作業では、祭祀所、倉庫、井戸、廊下が顔を出し、2~3世紀のものとみられる多くの遺物が発見された。作業を指揮するガニ・タルカン・マルディン博物館長は、キリスト教徒がローマ帝国の迫害を逃れるために地下都市を作ったと推測する。「最も多かった時には6~7万人が暮らしていたようだ」という。現在のミドゥヤト人口が10万人であることを考えると、驚きに値する数だ。
この地下都市は、ミドゥヤトのアッシリア語の名前「マティアテ(Matiate)」と名づけられた。まだ全体の3%しか発掘されていないが、「野外博物館」のようなミドゥヤトの街並みに、世界最大級の地下都市が加われば、今よりもずっと多くの観光客が見込めると期待が高まっている。
トルコでは地下都市・洞窟住居が多くあり、中部ネヴシェヒル県カッパドキアのデリンクユ地下都市、2015年に発見されたカヤシェヒル地下都市などが有名だ。