●同基地は対ロシア依存脱却に向けた柱の一つ
●対ロ制裁不参加のセルビアも安定供給の意義を確認
ギリシャのアレクサンドロポリス港で3日、液化天然ガス(LNG)ターミナルの工事が始まった。このターミナルはブルガリア、北マケドニア、セルビアの天然ガス調達における対ロシア依存脱却に向けた柱の一つと位置付けられる。プロジェクト運営元のガストレードは来年の完工を予定しているが、政府から最低でも6カ月、完工を前倒しするよう要請を受けているという。
プロジェクト費用は3億6,370万ユーロで、浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備のほか、国内送ガス網に接続するパイプラインを整備する。国際接続管(インターコネクション)を経由して、ブルガリア、北マケドニア、セルビア、ルーマニアにガスを供給できるようになる。
着工式にはギリシャ、ブルガリア、セルビアの首脳と並び、シャルル・ミシェル欧州理事会議長も出席した。アレクサンドロポリスLNG基地は、欧州連合(EU)の天然ガス重点プロジェクトに指定されている。
ブルガリアは4月27日、ルーブル建て決済に応じなかったとして、ロシアからガス供給を止められた。これまで需要の9割をロシアに頼ってきたが、供給停止を受けて、需要の40%をギリシャのレヴィソウサ島LNG基地から、60%をギリシャ天然ガス公社DEPAからロシア産ガスの転売を受ける形で調達している。
北マケドニアはブルガリアを通してガスの供給を受けている。すでに、アレクサンドロポリスから一定量のLNGを調達することを決めている。
セルビアは欧米の対ロシア制裁に参加しておらず、ロシアからガスを調達する長期契約を近く更新する見通しだ。ブチッチ大統領はそれでも、新LNGターミナルがガスの安定供給にとって意義のある存在になるという見方を示した。