イスラエルのネット広告企業タブーラ、ハンガリー同業を買収

●買収によりレコメンデーション広告などを強化

●グラビティR&Dの「Yusp」は文脈を理解した広告を打てる

イスラエルのIT企業でネイティブ広告を手掛けるタブーラ(Taboola)は5月31日、ハンガリー同業のグラビティR&Dの買収で合意したと発表した。研究開発に1億ユーロを投資する方針に沿ったもので、買収により人工知能(AI)技術や入札システム、オンライン販売の個別化および推薦システム(レコメンデーション広告)などを強化する。取引額は明らかにされていない。タブーラはブダペストにあるグラビティR&Dの拠点に研究開発センターを新たに置く予定。

グラビティR&Dの主力は販売増や顧客満足度の向上のための推薦システム「Yusp」で、オンライン販売などの電子商取引(EC)事業者やデジタルメディアの運営事業者によって利用されている。「Yusp」は独自の深層学習アルゴリズムに基づき、文脈(コンテキスト)データと顧客企業が持つデータを組み合わせることで、個々のユーザーに対し時宜にかなった広告を打てるようにする。20カ国以上に顧客企業を持つ同社の創業メンバーは過去に、ストリーミング大手のネットフリックスの推薦システム技術を競うコンペで優勝している。

タブーラは2006年の設立。顧客企業はAIプラットフォームを通じてマネタイズ(収益事業化)やユーザー参加を増やすことができる。利用企業には米大手ニュースチャンネルのCNBCやNBCニュース、英国の公共放送BBC、ウェブ経済誌ビジネスインサイダー、英紙インディペンデント、スペイン紙エル・ムンドなどが名を連ねる。

同社は昨年9月、ネット販売促進用のITシステムを開発するコネクティビティを買収した。コネクティビティのサービスの利用企業にはウォルマート、マーシーズ、ウェイフェアー、スケッチャーズ、イーベイなどがある。

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