極薄の埋め込み型神経刺激装置を開発=イスラエル工科大チーム

●シリコン製の同装置は外から光を当てて体内で電気を作り出す

●実験では、神経の治ゆにかかる時間が3分の2に短縮

イスラエルの研究者チームはこのほど、米シカゴ大学と協力し、外から光を当てて体内で電気を作り出すシリコン製極薄装置を開発した。脳梗塞などで損傷した末梢神経に刺激を与えて回復を早めることで、麻痺(ひ)やしびれ、慢性疼痛といった後遺症の予防に役立つとみられている。また、心臓手術後の一時的なペーシングにも応用できると考えられている。詳細は、学術誌『ネーチャーマテリアル』6月27日号に掲載された論文で参照できる。

開発したのはハイファにあるイスラエル工科大学(テクニオン)の研究者。イスラエルチームを率いるヘミ・ローテンベルグ助教授によると、損傷した神経を新装置で包み込み、体外から近赤外光を当てることで組織に電気刺激を与えられる。原理としては太陽光発電と同じだ。ラット組織を用いた実験では、神経の治ゆにかかる時間が3分の2に短縮したという。

新装置の利点は、治療に必要な手術の「ついで」に体内組織に装着すればよく、後で取り外す必要がないことにある。使用されているシリコンは一種類で、身体には無害。時間が経てば体内に吸収されてしまうという。心臓への応用でも、体外式ペースメーカーのように抜去する必要がないため、患者への負担を減らすことができる。

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