密輸トンネル、次々に発見~キルギス

キルギスの保安当局がウズベキスタンとの間に掘られた地下トンネルを相次いで発見している。密輸ルートとみられているが、このようなトンネルは数多くあり、その実数をつかむのは難しい。

最近では6月24日に南西部バトケン州のカイトパス村でトンネルが見つかった。ウズベキスタン国境からわずか60メートルの地点に入口があった。トンネルは幅1.5メートルで大人が歩いて通れるほどの高さがあったという。国家保安委員会(GKNB)では、消費財や武器・弾薬、現金、麻薬などの密輸のほか、密入国の手段としても使われたと推測している。

これ以前にカラ・スウ郡で見つかったものは、もっと大掛かりだった。1つは、家の主が入院して留守の間に犯人が長さ40メートルのトンネルを掘ったというもの。2つめは、深さ17.5メートル、長さ155メートルの大トンネルだった。3つめは、「国際提携」の産物で、国境にまたがる家に住んでいたキルギス人とウズベク人が示し合わせて、両方から掘ったという例だ。

保安当局に勤めていたアルトゥル・メデトベコフさんによると、トンネルで主に密輸されるのは、金などの貴金属、麻薬、外国通貨(ハードカレンシー)。そして、見つかったトンネルは「氷山の一角にすぎない」という。

ウズベキスタンとの密輸が盛んになっている理由として、政府がタジキスタンとの国境警備に特に力を入れていることがあるようだ。領土問題で外交関係が悪化し、事実上、相互に禁輸措置をとっているためだ。その分、ウズベキスタン国境は監視が手薄になる。

また、需要に供給が追い付いていないのも原因の一つという。国境を越えて行商する人があっても、運べる量には限りがある。越境できるところが少ないのも、行商の妨げになっている。

さらに、キルギスとウズベキスタンの国境線1,400キロのうち、およそ15%でフェンスなどによる国境の「区切り」がなく、どこまでがどこの国なのか、わからないという実際的な理由もある。

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