家賃が払えない~チェコ

ロシア軍の侵攻によるウクライナ戦争が始まって以来、チェコの首都プラハでルームシェアの人気が急速に高まっている。現地紙『ホスポダーシュスケー・ノヴィニー』によると、今年2~9月にルームシェアの空き室を探した人は前年の同じ時期に比べて28%も増加した。

変化したのは需要の大きさだけではない。不動産ポータル「ulovdomov.cz」を運営するミハル・フルバティー氏によると、通常であれば、学生が部屋を探す8月末から9月初めに検索件数が増えるが、今年は上半期がピークだった。家賃が高すぎて、シェアしないと住めなくなってきている表れとみている。

やはり不動産ポータルの「bezrealitky.cz」を運営するヤン・シュクラバーネク氏も同じ見方だ。ルームシェアする人は(1)40歳以下で外出が多く、家にあまりいない(2)50~60歳ぐらいで家賃の値上げに困っている――という2つのタイプに分けられるという。(2)の人は同じアパートに住み続けられるよう、部屋を又貸しすることで負担をやわらげているのだ。

プラハの家賃は上昇を続け、調査会社デロイトによると今年7~9月の相場は1平方メートル当たり360コルナ(15ユーロ弱)に達している。面積70平方メートルのアパートでは家賃が1,000ユーロ以上となる計算だ。1年前と比べて25%強上昇したことや、平均賃金が4万86コルナ(1,640ユーロ)であることを考えると、その深刻さが察せられる。ルームシェアをすれば家賃だけでなく水道光熱費も割り勘となり、全体で200ユーロほど節約できる。選択肢として魅力的なのもわかる。

今後も状況改善の見通しは暗い。新型コロナで減っていた観光客は再び増えている。ウクライナ戦争で避難してきた人々の住む場所も必要だ。高インフレも続く。土地価格・住宅金利の上昇でマイホームは夢のまた夢。同じ理由で新たな賃貸住宅の建設も難しい。家賃は青天井のままとなりそうだ。(1CZK=6.01JPY)

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