トルコ中銀が政策金利9%で据え置き、2会合連続

●緩和サイクル停止、さらなる利下げの可能性も

●中銀は通貨下支えに向けた「リラ化戦略」を実施

トルコ中央銀行は19日の金融政策決定会合で、主要政策金利である7日物レポ金利を9%に据え置いた。金利据え置きは2会合連続。前々回まで4会合連続で利下げを行っていた中銀は、金利がエルドアン大統領の求める1桁台まで下がったことを受け、利下げサイクルを停止する意向を表明していた。

同国のインフレ率は12月に64.27%となり、11月(84.39%)から20.12ポイント低下した。比較対象となる前年同月のインフレ率が36.1%と高水準だったことによるベース効果が大きいものの、中銀はインフレ圧力が緩和されたとしており、2023年末には22%まで下がるとの見方を示した。

中銀は声明で、物価と金融の「持続可能な安定」に向けた総合的な政策アプローチにより、インフレの水準と傾向は改善されたと強調。不確実性や地政学的リスクが高まる中、成長の勢いと良好な雇用環境を維持するため「支援的な」金融政策が必要と判断し、据え置きを決めたとする説明を繰り返した。一方、金利は世界的な需要の落ち込みに対処するうえで「適切な水準」だとの文言が除かれており、市場からは中銀が再び利下げを行うことに含みを残したとの見方が出ている。

■「リラ化」による通貨下支えは長続きせず=エコノミスト

エルドアン大統領はかねてより、「低金利政策で生産、輸出、雇用を増やせば経常黒字が生み出され、通貨安定・インフレ低下につながる」とする独自の理論に立ち、中銀に対し一貫して金融緩和を求めてきた。中銀は大統領の意を受けて動くとともに、インフレ安定に向け外貨の保有比率を減らし、通貨リラへの移動を促して通貨を下支えする「リラ化戦略(リライゼーション)」を実施。銀行のリラ預金の割合を2022年末の約53%から今年上半期に60%まで引き上げることを目指している。

これについてキャピタル・エコノミクスのリアム・ピーチ氏は、通貨安定政策は長続きしないだろうとコメント。「金利が非常に低いにもかかわらず、(通貨安にならずに)通貨が安定している状態が長く続くほど、後々大きな修正が必要になるリスクがある」と述べた。

同国では5月に大統領・議会の同時選挙が予定されており、選挙が近づくにつれて中銀に対する大統領の金融緩和圧力が高まると予想されている。

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