●フィアラ首相が歓迎する姿勢を明らかに
●「ユーロ7」についても排出上限緩和などを実現したい姿勢
合成燃料の使用を条件に、2035年以降もエンジン(内燃機関)車の販売を認める方向へ欧州委員会が舵を切ったことに関連し、チェコのペトル・フィアラ首相(ODS)がこれを歓迎する姿勢を明らかにした。次期排ガス規制「ユーロ7」をめぐる議論でも有利になるとみている。
欧州では2035年から、乗用車・小型商用車(LV)の新車販売をゼロ排出車に限り認めることになっていた。このため、エンジン車の販売が終了すると考えられていたが、ドイツなどの働きかけで、合成燃料(イーフューエル)で走るモデルに限り、認められることになった。
しかし、実現には「カーボンニュートラルなエンジン車」を含む自動車カテゴリーを新たに設ける必要がある。これには欧州議会の同意が必要なため、必ずしも合成燃料車の将来が安泰とは言えない。
チェコは「ユーロ7」についても排出上限の緩和や実施時期の延期を実現したい姿勢だ。今回、条件付きながらエンジン車の販売が可能になったことが、今後の議論を有利に進める助けになるとみる。
合成燃料は再生可能エネルギー由来の水素と、発電所や工場などから排出されるCO2を合成して生成される。ガソリンなどと同様に燃やせばCO2を排出するが、製造時に大気中のCO2を回収して利用することが可能で、温室効果ガスの排出は「実質ゼロ」とみなされている。