製薬大手の独バイエル(レバークーゼン)は12月21日、スイスのバイオ新興企業クリスパー・セラピューティクスと提携すると発表した。折半出資の合弁会社をロンドンに設立するほか、クリスパー・セラピューティクスに3,500万ドルを出資。「ゲノム編集」技術を活用して遺伝子疾患の治療法を開発・市場投入する考えだ。
ゲノム編集は酵素の働きを利用して標的とする遺伝情報を変更する技術で、従来の遺伝子組み換え技術に比べて操作の成功率が極めて高い。このため、遺伝子疾患の治療法として大きな期待がかけられている。
合弁会社では血液疾患、先天盲、先天性心臓疾患の新しい治療方法の開発を目指す。クリスパー・セラピューティクスは「クリスパー・キャス9」という最新のゲノム編集技術を提供。バイエルは同合弁に今後5年間で最低3億ドルを投じるほか、タンパク質工学とタンパク質の異常に起因する疾患分野のノウハウを持ち寄る。
バイエルは新たに設置した「バイエル・ライフサイエンス・センター(BLSC)」を通して今回の投資を行う。BLSCは取締役直属の機関で、科学・医療上の画期的な取り組みを見つけ出して支援することを目的としている。同センターの投資は今回が初めて。