ブルガリアのボイコ・ボリソフ首相は1月4日、現地テレビ局のインタビューで、黒海沿岸のヴァルナ近郊に天然ガスの国際輸送基地を整備する考えを改めて強調した。ロシア産ガスを南東欧向けに輸送する「トルコ・ストリーム」プロジェクトの凍結を背景に、自国をガス輸送のハブ基地とする狙いがある。エネルギー調達先の多様化を目指す欧州連合(EU)と協力してプロジェクトを進める方針だ。
この「バルカン・ガス・ハブ」プロジェクトはロシアやアゼルバイジャン、トルクメニスタン、ブルガリアで生産されたガスを、国内のほかセルビアやルーマニア、中欧地域に輸送するというもの。ロシアはトルコとの関係悪化を受けて「トルコ・ストリーム」を凍結しており、ボリソフ首相はハブ基地としての自国の有用性をアピールした格好だ。
ブルガリアはEU加盟から8年たった今も、天然ガス需要のほぼ100%をウクライナ経由でロシアから輸入している。ただ、貯蔵や輸送では独自のインフラを有しており、ハブ基地が実現すれば欧州の天然ガス調達における新たな輸入先や輸送ルートが生まれる可能性がある。また輸送料は年間数十億ユーロに上る見込みで、EU加盟国の中で最も貧しい同国にとって貴重な収入源となる。