製缶大手ボールのレクサム買収、条件付きで承認

欧州委員会は15日、製缶大手の米ボール・コーポレーションが英同業レクサムを買収する計画を条件付きで承認したと発表した。欧州委は欧州の飲料用缶市場で寡占化が進み、価格上昇を招く事態を懸念していたが、ボールが是正策として欧州内の12工場を売却する案を提示したことを受け、両社の取引を承認した。

ボールとレクサムは飲料用缶の2大メーカーで、世界シェアはそれぞれ5分の1を超える。ボールは昨年2月、レクサムを44億3,000万ポンド(約63億5,000万ユーロ)で買収することで合意。6月に欧州委に認可を申請した。

欧州委は欧州の飲料用缶市場で1位のレクサムと2位のボールの統合を認めた場合、競合する大手メーカーは現在の4社から3社(統合新会社とポーランドのキャンパック、米クラウン)に減り、公正な競争が阻害されるおそれがあるとして、7月に本格調査を開始。合併が実現すると年商150億ドルの巨大メーカーが誕生し、欧州でのシェアは約7割に達することや、欧州にある製缶工場の3分の2をボールとレクサスが保有する点などを問題視し、10月にボールに対して異議告知書を送付していた。

欧州委によると、ボールは是正策として英国、フランス、ドイツなど7カ国にある計10の缶本体の製造工場と、レクサムが保有する2つの缶蓋工場、さらに独ボンにあるビジネス・技術センターを第3者に譲渡することを提案。欧州委はこれによって競争上の懸念が払しょくされると判断し、買収計画を承認した。

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