伊の2銀行が合併協議、3月の合意目指し

イタリアの協同組合銀行であるバンカ・ポポラーレとバンカ・ポポラーレ・ディ・ミラノ(BPM)が合併協議を行っている。ロイター通信などが複数の消息筋からの情報として伝えたもので、実現すれば国内3位の銀行が誕生する。

バンカ・ポポラーレは時価総額で国内5位の銀行。ロイターが12日報じたところによると、BPMとは3月初めまでの合意を目指し、合併交渉を進めている。

伊政府は昨年1月、“ポポラーリ”と呼ばれる協同組合銀行を構造改革する法案を閣議決定した。銀行との結びつきが強い一部の株主が意思決定を支配する構造を崩し、経営の健全化を促すのが狙いで、資産規模が80億ユーロ以上の銀行は今年末までに企業形態を株式会社(S.p.A)に変更することを求められる。

イタリアの協同組合銀行は単独株主の持ち株比率が制限され、しかも同比率に関係なく1株主が保有する議決権は1個に限られてきた。敵対的買収に対する防衛策という面が大きいが、大口株主が軽視され、従業員や銀行労組など当事者による支配が進み、経営が不透明になるといった問題も指摘されている。このため、14年2月に発足したレンツィ首相率いる新政権は構造改革に乗り出していた。中堅行の協同組合銀行の統合を促進し、多くの銀行が乱立する国内金融市場を底上げする意図もある。

対象となるのは10行。各行は株式会社となり、持ち株比率と議決権を制限するルールは撤廃される。

同措置の対象となる協同組合銀行は、株式会社に転換してから買収の標的となるのを防ぐため、規模拡大に向けた合併を模索しているが、合併後の支配権などが問題となり、これまで実現した例はない。バンカ・ポポラーレとBPMは、資産総額でBPMが大きく下回るものの、時価総額はバンカ・ポポラーレが約40億ユーロ、BPMが37億ユーロと同等の水準にあり、合併の障害が少ないことから、協議に入ったもよう。消息筋はロイターに対して、対等合併になるとの見通しを示した。

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