欧州委員会は13日、ポーランドにおける「法の支配」の現状について本格的な調査に着手したことを明らかにした。保守系の新政権は司法やメディアに対する権限強化に向けた法改正を進めており、欧州委はこうした動きが欧州連合(EU)の基本的理念の柱をなす法の支配の原則に違反するおそれがあるとの見方を強めている。
昨年11月に発足したシドゥウォ政権は先月、憲法裁判所の運営に関する法改正を行い、判決を下す際に必要な判事の同意を従来の過半数から3分の2に引き上げた。ポーランド国内では司法権の独立を脅かすものだとの懸念が高まっている。また、今月には公共放送の幹部を担当閣僚が任免できる法律が施行され、総裁が解任された。
欧州委のティメルマンス第1副委員長は「法の支配はEUが掲げる基本的価値の1つだ」と強調。新政権は憲法裁判所の判断を軽視しており、メディアに関する法改正も表現の自由を制限する動きにつながりかねないと指摘した。これに対し、シドゥウォ首相は「ポーランドは存在しない問題のために不当に非難されている」と反論。EUが加盟国に義務づけた法の支配を順守していると主張している。
欧州委は3月までに調査結果をまとめる方針を示している。法の支配の原則が守られていないと判断した場合はポーランド政府に是正を勧告し、改善がみられない場合はEUの政策決定に関わる投票権を制限するなど、厳しい制裁措置を講じる可能性もある。