トルコのシンクタンク、カスピ海戦略研究所(HASEN)のハルドゥン・ヤヴァシ事務局長は1月26日、トルコ企業が今年新たな事業機会を求めてアジア太平洋地域に軸足を移していくとの見方を示した。世界経済における同地域の比重の高まりや、トルコとロシアとの関係悪化、イランに対する制裁解除といった要因を挙げている。
同事務局長は、トルコ企業がアジア太平洋地域へ進出するルート上にあるカスピ海沿岸諸国の重要性が増していくと強調。現在進められているトルコ、ジョージア及びアゼルバイジャンを結ぶ「カルス‐トビリシ‐バクー間鉄道プロジェクト」が完了すれば、トルコは同地域へ進出するための足掛かりを得られるとの見解を示した。
同鉄道プロジェクトは2005年に3カ国の首脳間で合意。07年に建設が開始されたものの、ロシアとジョージアの南オセチアをめぐる紛争の激化などにより09年8月には中断を余儀なくされた。現在トルコ側の76キロメートルを除き工事は終了しており、16年中には全区間が完成する見通しだ。なおバクーから中国北西部までの4,000キロメートルに及ぶ鉄路はすでに完成している。
ヤヴァシ事務局長はまた、ロシアのトルコに対する経済制裁の影響について、短期的には大きな影響はないが、今後数年でエネルギー供給リスクが高まる可能性があると指摘。トルコはカスピ海のエネルギー資源に焦点を当て、沿岸地域との貿易及びエネルギー協力を進めていくべきだとの考えを示した。