米SNS大手フェイスブックの「いいね」ボタンをインストールしたウェブサイトから訪問者の個人情報がフェイスブックに自動送信されることは情報の自己決定権の侵害に当たるとして独ノルトライン・ヴェストファーレン州消費者保護センターが同ボタンをインストールした衣料品小売大手ピーク・ウント・クロッペンベルク(P&C)を相手取って提訴した係争で1審のデュッセルドルフ地方裁判所は9日、原告勝訴判決を言い渡した。判決理由で裁判官は、サイト訪問者本人の明確な同意なしに訪問者のIPアドレスがフェイスブックに送信されることはデータ保護規制に抵触すると指摘。個人情報の送信について訪問者に説明するようP&Cに命じた。
原告消費者センターはP&CとHRS(ホテル予約サイト)、バイヤスドルフ(化学)、ペイバック(ポイントサービス)、イベンティン(チケット販売サイト)、キック(衣料品小売)の計6社がいいねボタンをインストールし、サイト訪問者の個人情報をフェイスブックに自動送信していることを問題視。自動送信を止めるよう要求した。6社中4社はこれを受け入れたものの、P&Cとペイバックは拒否したため提訴した。ペイバックに対する訴訟はミュンヘン地方裁判所で審理が行われている。
P&Cのオンラインショッピングサイト「ファッションID」では、訪問者がフェイスブックの登録者でない場合やいいねボタンをクリックしない場合でも個人情報がフェイスブックに自動送信されていた。原告は「情報の自己決定権の身売りに等しい」と批判している。
フェイスブックのいいねボタンを引き続き利用したい企業に対しては、サイト訪問者が同ボタンをクリックしない限り情報がフェイスブックに送信されないよう技術的なバリアを構築する、あるいはフェイスブックへの情報送信に対する訪問者の同意をバナーを使って取り付けるよう呼びかけている。