ボッシュ―クラウドサービス開始、異なるIoT規格の併用も―

自動車部品大手の独ボッシュは9~10日の2日間、「モノのインターネット(IoT)」関連のイベント「ボッシュ・コネクテッドワールド」をベルリンで開催した。今回は同社独自のクラウドサービスや、異なるIoT規格を組み合わせて利用するプロジェクトを紹介した。

ボッシュは独自のクラウドサービス「ボッシュIoTクラウド」を9日付で開始した。同社はすでにIoTに欠かせないセンサーとソフトウエアの開発・製造を手がけており、今回新たにクラウドサービスをスタートさせることで、IoTの3分野すべてで事業を展開する世界唯一の企業となった。クラウドサービスはまず社内向けに実施し、来年から外部の企業にも提供していく。

ボッシュIoTクラウドの中心となるソフトは「ボッシュIoTスイート」。同ソフトはインターネットに接続可能なモノを識別したうえで、モノの間のデータ通信を統制し、各種のサービスや事業モデルを生み出す。例えば機械の疲労を早期認識し故障する前にメインテナンスできるようにする。ボッシュIoTスイートにはすでに500万台以上の機器や機械が接続されている。

ボッシュIoTクラウドではこのほか、◇センサーを通して農地の状態を把握し収穫量を増やす◇駐車場の空きスペースを利用者のスマートフォンに送信する――といったサービスも行う。

ボッシュIoTクラウドのサービスはシュツットガルト本社近くの電算センターから展開する。ドイツないし欧州連合(EU)のデータ保護規制が適用される場所を選ぶことで、セュリティに対する顧客の信頼を獲得する狙いだ。

同社はまた、米国主導のIoT団体「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」と、ドイツの同団体「プラットフォーム・インダストリー4.0」の規格を両立させるプロジェクトを油圧弁製造の独ホンブルク工場で行うことも明らかにした。両者の規格の相互運用が可能であることを示すことで、IoT普及に弾みをつける考えだ。

同プロジェクトではプラットフォーム・インダストリー4.0のリファレンス・アーキテクチャーである「RAMI」を採用した機械と、IICサイドの同「IIRA」を採用した電力管理ソフトを連携。工場の消費電力を最大10%削減し、製品価格の低下につなげていく。独SAP、仏ダッソー・システムズ、印タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)のIT3社から協力を受ける。

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