IT大手の独SAPと米IBMは6日、新たなニーズの掘り起こしに向けて提携すると発表した。IBMの質問応答・意思決定支援システム(人工知能)「ワトソン」とSAPのインメモリーデータベースソフト「HANA」を組み合わせることで、幅広い業界、個々の企業向けのソリューションを開発していく。独ヴァルドルフにあるSAPの研究開発センターと米シリコンバレーのパロアルトにあるIBMの研究開発センターが持つリソースを活用する。
ワトソンは未整理の巨大データを瞬時に分析、関連付けて新たな知見を獲得する次世代のコンピューターで、顧客企業はそれを活用することで新たな製品やサービスを開発できる。新たな時代を切り開く技術として大きな期待をかけられている。ただ、顧客数と売上高は少ないもようで、同社はそれらのデータを公表していない。
SAPのソフトを利用する企業は極めて多いことから、IBMは同社と組むことでワトソン事業を拡大していく考えだ。今回の提携のIBMサイドの責任者であるクリストファー・ダール氏は『ハンデルスブラット』紙に、「顧客ニーズに最適に応えるためにはワトソンのコグニティブなソリューションを個々の業界および企業の特殊な要求に適用させなければならない。SAPとの提携はそうした産業ソリューションの共同開発に役立つ」と述べ、期待感を示した。
SAPもワトソンの機能と組み合わせることでHANAの能力を拡充し商品価値を高めることができる。