独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は20日、本社のあるヴォルフスブルク工場に生産技術の試験センターを開設した。工場に隣接するため、生産現場の意見を反映しやすいほか、新しい生産技術の訓練を従業員に実施することもできる。これにより、新しい技術の生産ラインへの導入をより円滑に進めることが可能になる。
同センターは、◇デジタル技術(デジタル・ウェイ)◇ヒューマンマシンインターフェース(HMI)◇部材の移動・運搬◇車体製造◇組み立て◇人間工学――の6分野に分かれており、新しい製造システムを3~6カ月間、継続して稼働させ試験することができる。
現在は、メンテナンスを担当する従業員が携帯するタブレット端末に製造設備の不具合をリアルタイムで知らせるアプリを開発している。また、組み立てでは、人間の手が届きにくい場所の作業をロボットが行い、人間とロボットが連携するシステムを試験している。この連携システムは今夏まで試験した後、量産ラインに導入する予定。このほか、フォークリフトの代わりに無人の運搬車両で部材を生産ラインまで運ぶ技術も試験している。
VWはこのような新しい技術の導入により、生産性を向上させるとともに、人口の高齢化に対応して年齢に適した仕事を提供できる生産システムを開発することを目指している。