欧州中央銀行(ECB)は20日、ユーロ圏の銀行に詳細な融資情報の提供を求める「AnaCredit」制度について、不良債権の報告義務に関する規則を変更すると発表した。当初は100ユーロを超える融資を対象とする予定だったが、同基準を2万5,000ユーロ以上に緩和する。
同制度はユーロ圏の銀行のリスク管理を強化し、金融システムの安定を維持するのが目的。ECBは融資に関する集約されたデータを入手しているが、これでは現状分析に不十分なため、きめ細かいデータを集め、データベース化する「AnaCredit」制度の導入を2011年11月に発表していた。2018年9月から運用を開始する。
同制度では当初、企業向け融資に限って、情報を定期的に報告することを求める。将来的には個人ローンにも適用することを視野に入れる。
これまでECBは、100ユーロを超える融資案件について、融資が不良債権化した場合の報告を義務付ける方針だった。しかし、諮問作業の過程で銀行業界から厳しすぎるとの意見が寄せられたため、2万5,000ユーロ以上に変更することを決めた。
同制度をめぐっては、データ収集の開始期間を銀行側の要請に沿って、当初予定していた18年3月から6カ月遅れの同9月に先送りした経緯がある。
