IT大手の米マイクロソフトは3日、ITセキュリティの有力企業である独セキュネットと提携すると発表した。セキュネットの暗号化技術「SINA」をマイクロソフトがドイツで展開するクラウドサービスで提供。米企業のクラウドに不信感を持つ顧客層を開拓していく。セキュネットはドイツ政府公認のITセキュリティパートナーで、データの安全性に敏感な官庁などにSINAを提供している。
米IT大手は不特定多数の利用者を対象とするパブリッククラウドで強い競争力を持つ。ただ、米国家安全保障局(NSA)の大規模なスパイ活動が暴露されたことを受けて、米国のクラウドに情報を保存することに懸念を持つ企業が増加。欧州企業を顧客として獲得するためにはそうした懸念を払しょくすることが必要不可欠となっている。
マイクロソフトはこうした事情を踏まえて昨年11月、ドイツテレコムと提携した。フランクフルトとマグデブルクの電算センターを使って提供するクラウドサービスで、データをもっぱらドイツ国内で保管。また、ドイツテレコムのITサービス子会社Tシステムズを顧客データの信託管理者に指定することで、マイクロソフトがTシステムズないし顧客の同意なしにこれらのデータにアクセスできない仕組みを構築した。
セキュネットとの今回の提携はこうした流れの延長線上にある。認証分野でも国有の特殊印刷・セュリティソフト会社であるブンデスドルッケライと提携している。