チェコ議会で先月25日、飲食店での喫煙を原則禁止する法律案が否決された。欧州連合(EU)が国内法転換のデッドラインとして定めた5月20日から大幅に遅れることになり、助成金削減などの制裁を受ける可能性も出てきた。
チェコでは1994年以来、どの政権もこの種の喫煙制限を導入しようと試み、失敗してきた。しかし、今回は議員の半数が非喫煙者であることや、自らヘビースモーカーであるゼマン大統領も賛意を表していたことで法案成立への期待がこれまでになく高まっていた。
野党は法律を骨抜きにしようと200件以上の修正案を提出したが、問題は「セルフサービスを条件に飲食店は喫煙者コーナーを設けることができる」とした修正案に最大与党・社会党が賛成したことから始まった。
連立を組むANOはこれを取り決め違反ととらえ、議員の多数が法案そのものの反対に回った。結果として8票差で否決となった。
社会党とANOは互いに互いの行動を裏切りとみて不信感を募らせている。議員の中からは連立解消の声さえ上がっている。
さて、飲食店のほうは、すでに独自の道を歩み始めているようだ。都市を中心に禁煙の居酒屋が雨後のタケノコのように出現しているという。禁煙派の需要は市場原理を動かすほどに強くなっているということか。