モンサントの除草剤成分、加盟国が認可延長で合意できず

EU加盟国は7日、米農薬大手モンサントが開発した除草剤「ラウンドアップ」の主成分で、発がん性が疑われる「グリホサート」の認可期間を最大18カ月延長する案を否決した。反対票を投じたのはマルタのみで、28カ国のうち20カ国が欧州委員会の提案を支持したが、ドイツなど7カ国が棄権した結果、特定多数での承認を得られなかった。月内に加盟国の専門家で構成する特別委員会を開き、改めて採決を行うが、そこでも認可延長が認められなかった場合、モンサントはEU市場でラウンドアップの販売停止を余儀なくされる可能性がある。

グリホサートをめぐっては、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が昨年3月、発がん性の恐れがあるとする報告書を公表した。動物実験などのデータに基づき、5段階評価で2番目にリスクが高い「ヒトに対して恐らく発がん性がある」物質のグループに分類している。これに対し、WHOと国連食糧農業機関(FAO)の合同専門委員会は先月、食物摂取を通じた曝露による発がんリスクは「恐らくない」との結論をまとめており、国際機関の間で安全性に関する評価が分かれている。

EU市場では6月末にグリホサートの認可期間が終了するため、欧州委は当初、15年間の認可延長を提案していた。しかし、IARCの発表を機にグリホサートの安全性を懸念する声が高まり、加盟国の支持を得られなかったため、認可期間を12~18カ月延長し、その間に欧州化学物質庁(ECHA)が徹底した検証を行う案を提示していた。

モンサントはグリホサートの安全性に問題はないと強調し、EUの対応を批判している。各国の規制問題を担当するミラー副社長は声明で、「さらなる認可手続きの遅れはEUが定める規制の枠組みからの著しい逸脱であり、他の成分の取り扱いに関して懸念される前例となる」と述べ、速やかに再認可を認めるよう求めた。

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