欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票が英国で23日実施され、開票の結果、離脱支持が僅差で過半数を制した。EU残留を訴えてきたキャメロン首相は投票結果が判明した24日朝、辞意を表明しており、同国のEU脱退は確実となった。ドイツでは今回の結果がもたらす経済的な影響への懸念が強く、有力経済研究所Ifoのフュスト所長は「理性の敗北だ」と断言。「経済的な損失に歯止めをかけるために政治は今、あらゆる手段を講じなければならない」として、EUと加盟国政府に迅速な対策を促した。
フュスト所長はEU離脱後も英国が域内市場にとどまるようにすることは緊急性の高い課題だと指摘した。EUと英国が速やかに交渉を行い、両者の経済関係の先行き不透明感を長引かせないことが重要だとしている。先行きが読めない状況下では企業は投資の決定を下しにくく、景気に悪影響が出るという事情がある。
ドイツのメルケル首相は24日の記者会見で、「英国とEUの今後の関係を緊密で協調的なものにすることが我々の目標だ」と語った。英国のEU離脱に向けた交渉を見据えた発言で、特にドイツの国民と経済界の利害を重視して交渉を進める考えを示した。
ただ、政府は英国に大きな譲歩をしない構えだ。EUを離脱するにもかかわらず英国が将来もこれまでと同様の権利を享受できるようだと、追随の動きが他の加盟国に連鎖的に広がりEU瓦解につながりかねないためだ。経済紙『ハンデルスブラット』によると、独財務省の内部文書には「(EUが英国と今後締結する協定が)他の加盟国に誤った刺激を与えることを回避しなければならない」と記されている。
英国は今後、EU条約50条の規定に従い欧州理事会に離脱の意向を通告する。EUはこれを受けて英国と交渉を開始。離脱手続きの詳細と両者の将来の関係を取り決めることになる。