欧州中央銀行(ECB)は22日に開いた政策理事会で、ギリシャの銀行への資金供給に際して、信用力が低いギリシャ国債も担保として受け入れる特例措置の再開を決めたと発表した。これによってギリシャの銀行は、ギリシャ国債を担保にゼロ金利で資金を調達できるようになり、資金繰りが改善する。
ギリシャの国債は投機的水準に格付けされているため、ECBの資金供給で本来は担保として認められないが、ECBは2010年5月、信用不安で資金繰りが悪化したギリシャの銀行を支援するため、ギリシャ国債も特例的に担保として受け入れる措置を開始した。しかし、反緊縮を掲げるチプラス政権が15年1月に発足し、EUなどによる金融支援の条件として約束していた財政再建策を放棄する姿勢を打ち出したことから、同年2月に中止していた。
同特例措置の再開は、ユーロ圏が5月下旬の財務相会合で、ギリシャが第3次金融支援の条件となっている財政改革を進めていると認定し、75億ユーロの追加融資実施を決めたことを受けたもの。29日の主要リファイナンス・オペレーション(MRO)から再びギリシャ国債も担保として受け入れる。
ギリシャの銀行は同措置の中止により、ECBの通常の資金供給オペより金利が高い緊急流動性支援(ELA)に資金調達を頼るしかない状況が1年以上にわたって続き、預金引き出し制限を継続するなど厳しい状況にあった。ECBの決定によって、同国の金融システムは正常化に向けて大きく前進した格好となる。
ECBはユーロ圏の銀行が保有する国債などを買い入れる量的金融緩和を実施しているが、ギリシャ国債は買い取り対象となっていない。ECBは声明で、ギリシャの財政再建の進展状況をにらみながら、ギリシャ国債買い入れの可否を判断する方針を示した。