ECBの国債買い取り策、独憲法裁が容認

ドイツの連邦憲法裁判所は21日、欧州中央銀行(ECB)が2012年にユーロ圏の信用不安対策として打ち出した国債買い入れ策を合憲とする判断を下した。これによってECBが同措置を実施する場合、ドイツ連邦銀行(中央銀行)も参加できるようになる。

問題となっていたのは、「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」と呼ばれる国債買い入れ措置。ECBがギリシャに端を発した信用不安の拡大を受けて12年9月に発表した。重債務国の期間1~3年の国債を利回りが適正水準に下がるまで流通市場で無制限で買い取るというものだ。

OMTは計画を発表しただけで金融安全弁として機能し、信用不安が沈静化したため、これまで実施されたことはない。しかし、ドイツの政治家、学者らは、ECBによる国債の無制限購入は重債務国の放漫財政を助長するもので、EU基本条約に定められたECBの権限を逸脱するとして反発し、ドイツの連邦憲法裁判所に提訴。憲法裁は14年2月、欧州司法裁判所に同案件を付託していた。

欧州裁は昨年6月、OMTは「ECBに与えられた権限に基づく金融政策の枠内にあるプログラム」として、対象国が国債を発行した直後の買い入れを禁ずることなどを条件に、EU法に違反しないと認定していた。

独連邦憲法裁は欧州裁の判断に従う意向を示していたため、今回の判決は予想通り。ただ、独連邦銀行による実施について、欧州裁が示した条件のほか、買い取り規模を制限することや、事前に買い取りを発表することを禁止することなどを加えた。

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