独機械大手フォイトは3日、独ロボット大手クーカに対する中国企業・美的集団の株式公開買い付け(TOB)に応じ保有するクーカ株25.1%を売却すると発表した。独複合企業ローグループのオーナー兼会長であるフリードヘルム・ロー氏も同保有株10%を美的集団に売却したことを4日、『ハンデルスブラット(HB)』紙に明らかにしており、美的集団は同TOBで出資比率を30%以上に引き上げるとした目標を15日の期限を待たずに達成したことになる。
フォイトはクーカの筆頭株主。同社製品はメカニック系が中心であるため2014年12月、インダストリー4.0分野で高い技術を持つクーカに戦略出資し競争力を高める考えだった。だが、美的集団に次ぐ第2位株主としてクーカに今後も出資を続けることは戦略的に意味がないと判断。TOBに応じることにした。
売却益は約12億ユーロで、クーカ株を取得した際の価格の2倍以上に上る。今後の事業拡大や他社買収に充てる考えだ。
ロー氏は約5億ユーロでクーカ株を売却した。同氏は先ごろHB紙のインタビューで、監査役会に美的集団が過半数の役員を送り込むようになると、影響力をほとんど行使できなくなると述べ、TOBに応じる意向を示唆していた。
美的集団のTOB価格は極めて高いことから、他の株主の大半もTOBを受け入れるとみられている。