スーパー大手エデカの合併手続き凍結、裁判所の判断で

独中堅食品スーパーのカイザース・テンゲルマン(以下カイザース)を業界最大手のエデカが吸収合併する計画をガブリエル経済相が承認したことの是非をめぐる係争で、デュッセルドルフ高等裁判所は12日、同承認を無効とする決定を下した。両社と経財相は最高裁の連邦司法裁判所(BGH)で争うことができるものの、合併手続きは当面、凍結されることになり、両社は大きな痛手を受けた格好だ。

カイザースの親会社であるテンゲルマンは2014年10月、カイザースをエデカに売却する計画を明らかにした。カイザースは事業規模が小さく赤字が続いており、単独で生き残るのは不可能と判断したためだ。

カルテル庁はこれを受けて同計画の調査を開始し、15年2月、一部の地域で市場の寡占が強まるほか、商品調達面でも中堅スーパーとメーカーに不当なしわ寄せが出るとして変更を要求。エデカは計画を一部変更したものの、同庁は不十分として4月に不承認の決定を下した。

エデカはこれを受けて、同社がカイザースを買収しなければ大量の雇用が失われるとして経済相の特別許可を申請したものの、経済相の諮問機関である独占委員会は8月、カルテル庁の決定を妥当とする鑑定書を発表した。

ガブリエル経済相はそれにもかかわらず、同合併で生じる市場競争の鈍化よりも雇用維持の方が重要だと強調し、今年3月に条件付きで合併を承認した。独占委の提言に沿わない異例の措置であり、競合レーベが提訴していた。

デュッセルドルフ高裁の裁判官は今回の決定理由で、雇用の維持を公共の福祉と意味づけて市場競争に優先させた経済相の主張には妥当性が欠けると指摘。また、ガブリエル経済相が合併承認前にエデカの社長およびカイザースのオーナーと極秘会談していたことを挙げ、同相の行為には中立性が欠けるとの判断も示した。

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