EUと中国は12、13の両日、北京で首脳会談を行い、中国による鉄鋼の過剰生産に対処するため、合同作業部会を創設することで合意した。急増しているEU向け鉄鋼輸出量などのデータを共有し、過剰供給の解消に向けた意見交換や情報交換の場とする。
首脳会議にはEU側からトゥスク大統領と欧州委員会のユンケル委員長、中国側からは李克強首相が出席した。ユンケル氏は会議後の会見で、中国で生産された大量の鉄鋼製品が安価で世界市場に流入しており、「EUにとって極めて深刻な問題だ」と強調。合同作業部会を通じて問題解決を目指す考えを示す一方、「EUの鉄鋼産業を保護するためあらゆる手段を講じる」と述べ、中国製鋼材の流入に対抗する姿勢を打ち出した。EUは中国から流入する複数の鉄鋼製品に対し、反ダンピング(不当廉売)調査を実施している。
一方、李首相は中国とEUが2013年秋に交渉を開始した投資協定について、「できるだけ早期に高い水準で合意したい」と語った。また、同氏はEUに対し、中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」として認定するよう求めた。中国は01年のWTO加盟に際し、当初15年間は「非市場経済国」と扱われることを受け入れたが、12月11日付で同規定が失効するため、その後は自動的に市場経済国に移行すると主張している。しかし、市場経済国に認定した場合、中国からの安価な輸入品に対して反ダンピング措置を講じることが困難になり、自国の製造業者はより一層厳しい競争にさらされることになる。ユンケル氏は「鉄鋼の過剰生産と市場経済国のステータスには明確なつながりがある」と述べ、過剰供給の解消に向けて進展がなければ認定は難しいとの考えを示唆した。