トラックカルテルで欧州委が制裁金、過去最高の29.3億ユーロ

欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、欧州の複数のトラックメーカーが大・中型トラックの販売でカルテルを結んでいた問題で、調査の終了した4社に総額29億2,650万ユーロの制裁金支払いを命じた発表した。EUのカルテル制裁金ではこれまで14億ユーロ(ブラウン管カルテル)が最高だったが、今回の額はこれを大幅に上回る水準。欧州委のマルグレーテ・ヴェスタエアー委員(競争政策担当)は、欧州の物流の4分の3を担うトラックの分野で主要メーカーが14年の長期にわたって違法なカルテルを結んでいたことは許容できないと批判した。

カルテルに参加していたのはMAN(独)、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、ダイムラー(独)、イベコ(伊)、DAF(蘭)、スカニア(スウェーデン)の6社(グループ)。欧州委はこのうちMANとスカニアを除く4社に今回、制裁金支払いを命じた。各社の制裁額はダイムラーが10億877万ユーロ、DAFが7億5,268万ユーロ、ボルボ/ルノーが6億7,045万ユーロ、イベコが4億9,461万ユーロ。MANは最初に通報したため、制裁を全額免除された。スカニアは捜査が未終了のため制裁額が確定していない。

6社は1997年から2011年にかけてカルテルを結び、販売価格を取り決めていた。また、EU環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていた。

EUではカルテル疑惑が浮上して欧州委の調査対象となった企業が調査段階でカルテルへの関与を認め調査に協力すれば、制裁額を10%減額する和解制度が導入されており、今回の制裁支払いを命じられた4社には同減額ルールがすべて適用された。また、捜査への寄与度が大きかったボルボ/ルノー、ダイムラー、イベコはこれとは別にそれぞれ40%、30%、10%の減額措置を受けた。

4社はすでに同カルテルに絡む引当金を相当額、計上しているため、巨額の財務負担が新たに発生することはない。各社の引当額はDAFが約8億6,000万ユーロ、ダイムラーが6億ユーロ以上、イベコが約4億5,000万ユーロ、ボルボが約4億ユーロ。

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