欧州銀行監督機構(EBA)は7月28日、EU内の主要51銀行(ノルウェーの1行を含む)を対象に実施した2016年のストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。今回のテストでは“合否”判定を行わないが、伊3位銀行のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(BMPS)が事実上の不合格となり、同日に再建策を発表した。
今回のストレステストでは、EUのGDP伸び率が16年にマイナス1.2%、17年にマイナス1.3%、18年にプラス0.7%となるという「逆境シナリオ」を想定し、各行の健全性を検証した。ただ、過去のテストのように各行が最低限確保するべき自己資本比率は設定せず、合否の判定は行わない。
同結果によると、逆境シナリオに基づく対象銀行の中核的自己資本比率(新たな自己資本規制の影響をすべて加味しない暫定ベース)は2018年末に9.4%となる見込み。15年末の13.2%から3.8ポイント低下する。
最も結果が悪かったのは、巨額の不良債権が大きな問題となっている伊3位銀行のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(BMPS)。予想される18年の自己資本比率はマイナス2.23%で、15年の12.01%から14.23ポイントも縮小する。
その他の銀行は自己資本比率がプラスを維持し、前回のテストで合格ラインとされた5.5%を上回ったが、縮小率はアイルランドのアライド・アイリッシュバンクが8.47ポイント、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドが7.46ポイントと、BMPSに次ぐ高水準となった。
BMPSをめぐっては、不良債権が約500億ユーロと巨額に上ることから、ストレステストの結果で信用不安が膨らむ恐れがあった。同行はこうした状況に対応するため、結果公表の直前に、米JPモルガン・チェースなどを引き受け先とする50億ユーロの増資を実施すると発表。また、92億ユーロの不良債権を証券化して処理する方針も打ち出した。