露銀行の投資収益、2年ぶり増加

ロシアの銀行の投資収益が2014年以来初めて上昇した。トムソン・ロイターが先ごろ発表した試算によると、今年の4-6月期の投資収益は1億1,150万ドルと1-3月期の168万ドルから大幅に増加した。

今年上半期の手数料収入は1億2,830万ドル、そのうち472万ドルはシンジケートローン(協調融資)によるものだった。ただし一部には手数料収入にシンジケートローンを含めるのは妥当ではないとの見方もある。

今年上半期の証券発行額は86億ドルで前年同期の約50%の水準にとどまった。投資銀行の債券引受業務からの収入は2,800万ドルで、前年同期比で32%の減少。同時期に最も多くの債券を発行したのは財務省で、2003年以来初めてとなる17億5,000万ドルのユーロ債を発行した。その際にはVTBキャピタルが唯一の引受機関となった。

M&A(合併・買収)のアドバイザリー業務からの収入は、資産が79億ドルに倍増したにも関わらず2015年1-3月期の2,030万ドルから6%減少した。エネルギー部門関連取引が47億ドルで全資産の半分を占めた。

取引額で今年最大規模となった案件のアドバイザリー業務を担当したのはロスチャイルド・フィナンシャル・アドバイザリーで、ヴァンコルネフチ(Vankorneft)の24%とタース・ユルカフ・オイル・アンド・ガス(Taas-Yuryakh Oil&Gas)の30%の株式引受を行った。両社は共に国営石油企業ロスネフチの子会社で、インド企業に計30億ドルで売却された。またヘノン・キャピタル・パートナーズはイルクーツクエネルゴ(Irkutskenergo)の40%の株式売却を担当した。

ロシア最大手銀行ズベルバンクの投資銀行部門であるズベルバンクCIBの幹部の1人は、「世界の地政学的な情勢が改善すれば市場は上向く。しかし、ダイヤモンド世界最大手アルロサの民営化が示すように、今でもロシア市場は投資家にとって魅力的であり、米国からの需要が限られていても質の高い取引を行うことは可能だ」と述べた。

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